きまぐれテンプテーション 評価 / 感想
きまぐれテンプテーション とは
価格帯も¥3,000程度とロープライスなので手が出しやすい作品ですね。
見た目からして抜きゲーに見えますが、実は...。
物語は大学生の陰陽師である主人公・巽悠久が要請により不審な集団自殺が行われたアパートへ向かうところから始まります。
早速現れる。
イギリスから来た悪魔の"アンネリーゼ"という子らしいです。
とはいえこいつは敵というわけでなく、主人公が抱える案件を解決するのを手伝ってくれる相棒的なポジションのヒロインといった具合に落ち着くんですね。
二人でにゃんにゃんしながら進めていこうとなるほどね。
そしてこのゲームの目玉は何といってもこちら!
めっちゃ立ち絵が動く
ただでさえ大きいのに破壊力が数段増しますね(何がとは言わんが)。
(僕はスクショ勢なので、撮る際に瞬きされたりポーズが変わるせいで多少他作品よりやり辛さを多少感じましたけどね。)
色んな表情色んなポーズをしてくれるのですが、反面動作が非常に重くなりやすくなっており、パッチを入れない状態でフルスクリーンプレイしようとすると(あくまで僕の環境下では)カクカクでまともに動かない程だったので、それなりに容量を要していることが分かりますね。
システム面に関しましては、シルキーズプラスお馴染みのオートセーブや"前回からの続き"に加え(缶詰から実装されたという話の)バックログジャンプですね、こちらも使用可能になっています。
アぺイリアやバタフライシーカーはこれがないせいで非常にスクショを残しづらかったのでありがたい話ですね。
パロディネタ
いくつかあるんですけどすぐに元ネタ分かって普通に笑いました。
めっちゃ大地を踏みしめて君が目覚めそうなタイトルですね。
休載関連のネタやネットの玩具にされてる円の使い手"ノ○ナガ"の擁護があったりと「あーこれ作ってる人普通にハンター好きなんやな」ってのが伝わってきましたね。
王位継承戦ってワードを出してくる作品もなかなかないですしね。
他だとこんなのもありました。
印南(※)で草
ハンターやジョジョみたいな有名どころの漫画はちょいちょい江戸ゲのパロディとして用いられるところをみるのですが、哲也を出してきた作品は僕のプレイ歴では初なので普通に嬉しかったですね。
久々に房州さんの「行くぜ、坊や」を思い出しました。
というかアンネが哲也読んでたことに驚きですよ。
伊達にオタ文化好きを名乗ってないですね。
(※)..."哲也~雀聖と呼ばれた男~"という麻雀漫画の登場人物。ヒロポンを摂取したことで人として壊れてしまった代わりに人間離れした記憶力を得る。
こういった小さな笑いを誘うネタを仕込んでくれるのは僕個人としては非常に楽しめるので好きですね。
それではこれより感想に入ります。
シナリオ感想の項目には物語の結末を含む重大なネタバレが含まれますので、未プレイの方は閲覧をここまでで留めることをお勧めします。
気になった方は是非体験版にでも触れてみてください。
シナリオ感想(ネタバレ有)
短いながらも起承転結しっかりまとまった素敵なシナリオでした。
可愛らしいパケ絵から繰り出されるえげつない話、なかなかに良い衝撃です。
金銭的生活に余裕がない人たちを取り込み軟禁状態に陥れる鬼畜の所業。
ただ家賃二万円は魅力的過ぎますね...。
(僕自身も新生活用に物件探しの途中なので、この広さこの綺麗さで二万はそそられるものがあります。)
身元保証人を用意できなかった人、両親に無理やり押し込められた人事情は色々ですが、皆一様に凄惨な結末をたどってしまったというのは何ともやるせないですね。
というかあれですね、やはり「過去に自分が虐められていたから僕は私は絶対に人を虐めたりしないぞ」となれる人はまあいないんだなというのが改めて分かりましたね。
人は人を映す鏡と言いますし、自分が受けた屈辱は誰かに返したいと思ってしまう卑しい思考というのは誰にでもあるものなんですよね。なんとも度し難い...。
ただこの作品に出てくる登場人物ってどうしようもないクズや何もできなかった子、努力の方向を間違えた子に後悔に蝕まれた子と色々いましたが、主人公やアンネも含めて詰まるところどの人たちも皆愛を求めてたんだなと思いました。
自分の内にある誰かからの寵愛を受けたい, 必要とされたいといったコンプレックスが浮き彫りにされる劇薬のようなお話でした。
因みにアンネの正体に関しては知ってたって感じです。
僕の中にある絶対的な理念の一つとして
『なんのイベントもなしに男女の仲が急速に深まるなんてあり得ない』
というのがあり、出会ったばかりのアンネが主人公にグイグイくるの妙だなあ...ってずっと思っていたしアンネの一人称がたまに変わるのも気になってました。
メタ的な読みで物語を一番綺麗に収めるにはアンネを黒幕にすることだろうなと考えていたので、BADで堕としに来る展開はなかなか良かったですね。
黒幕ではあったものの最後までアンネは可愛いアンネのままだったし、最後には悠久のことを本当に好きになれたというのが分かったので安心しました。サリィ以上のゲス展開でもそれはそれで好きになれたと思いますけどそうするとやはり結末が虚しいですし、何より派遣されたのが悠久である必要がなくなってしまいかねませんのでこの終わり方がベストな落としどころだったのかなといった感じです。
全体的によかったですが、強いてあげることがあるとすれば、僕はEND【解決】→【終幕】→【後悔】→【---------------】(BAD)→【 】(BAD2)→【約束】(TRUE)という順番に進めていたのですが、BAD2の段階でネタを出し切ってしまった感があり、TRUEを進めるうえでのハラハラ感が少々薄れ気味になってしまったので、そこだけ少し勿体なかったかなと思いました。
ですが、最初に書いた通りまとまり具合は非常に綺麗だったし価格帯を考慮すればそんなに気にするほどでもなかったですね。
総括
正直な話、元々本作品に関してはパケ絵の見た目で敬遠していて触れる気はなかったんですよね。
先日複数の友人から勧められ、かつ僕は直前まで景の海のアぺイリアをプレイしておりその友人たちの一人に「アぺイリアと同じくらい面白いよ」と言われアぺイリアを非常に面白く感じた身からしますと興味をそそられるものがありましたので始めてみたんですが、良い意味で裏切られましたね。
全体的に短く、10時間前後で全ENDの回収ができるくらいのプレイ時間ではありましたが、¥3,000といった価格帯を考えるとお釣りがくるくらいしっかりした内容でした。
立ち絵を動かす試みは非常に素敵でしたが、やはり僕のPCではグラボを積んでいても(アンネの立ち絵が出るシーンの)動作が不安定になりがちだったので、1280×720より大きい解像度でも変わらずプレイできるようにするかあるいは動かさない方が快適にプレイできたかなというところはあります。
コンフィグで動かすか動かさないかの切り替えができる仕様にしても良かったかもしれませんね。
新しいことに挑戦すること自体は良いことなので是非色々チャレンジはしてもらいたいですけどね。
なんにせよシルプラ初のロープラゲー、楽しませていただきました。
『さぁ行こうか、相棒!』
ではっ!