塩の江戸ゲ戦記

ソラノキオクを求めて

塩サイダー(@ShioCider_RUKIT)のエロゲ感想日記

アサガオは夜を識らない。 体験版 評価 / 感想

アサガオは夜を識らない。_20210730

 

あぁそうだ……

僕達は皆ーー"○○"なんだ

 

前書き

先日エロゲ好きの友人たちから今月末面白そうなゲームが出るといった話を頂き、気になったので調べたところ、その作品は確かに目を引くあらすじやHPをしていました。

まず、真っ先に惹かれたか要素は何かといった話ですが、

アサガオは夜(アイ)を識らない。

上記公式サイトのリンクを叩いてみてください。

星空をバックに可愛らしい少女が兎を抱いてるCGが見受けられますね。

次に18歳以上の方は選択肢を『はい』を選んでみてください。

するとどうでしょう。

 

さっきまで抱かれていた兎が首を切られ血塗れの姿に変化します。

 

下衆の勘繰りのようなものですが、こういった演出を考える輩は性格が捻くれているのだろうなという思いがあり、凄惨な物語が待ち受けているのではと感じました。

かくいう私も多少捻くれた部分を持ち合わせており、どうにもならない理不尽を突き付けられたり、人々のコンプレックスを浮き彫りにさせるような重めな描写が多い作品を好む傾向にあるためシンパシーを感じ、久々に体験版を触りたいといった気持ちになったので、早速DLしプレイしてみたといったお話です。

そしてこれがなかなか期待が持てそうな感触でしたので、記事に残しておこうと思った次第です。

 

体験版の範囲ですので、語れることが多くない都合上少々ネタバレに触れる部分はありますが、一応核心に迫る部分はぼかした表現を用いて綴ります

よって一切前情報無しで作品に触れたい方は閲覧を控えることをお勧めします。

 

アサガオは夜を識らない。 とは

アサガオは夜を識らない。_タイトル

MELLOW発のシリアスもの。

精神的に何らかの問題を抱える若い男女が集められた島に移住することになった記憶喪失の主人公・吉良碧依。

そしてその島に住む住人たちと交流を深めながら、自分の記憶の断片を探る生活をしていきます。

緋色アサガオ_01

そんな中ふと見つけた一人の少女。緋色アサガオ

まるで幼児のような喋り方、思考で絵日記も年相応とは思えないような内容を綴るそんな彼女を見た瞬間、自分の中にデジャブにも似た何かを感じた碧依。

もしかしたら過去に会ったことがあり、彼女の存在が自分の記憶を取り戻す鍵となり得るのではないかと考え、接触を試みるが......。

 

体験版の範囲では島に移住してからの12日間までが描かれています。

 

体験版感想

アサガオは夜を識らない。_01

続きが気になるような内容、終わり方でした。

ところどころ「"――"」と伏字になっている台詞があり、想像を掻き立ててくれたのは良い演出ですね。
序盤に伏線を張り巡らす展開や叙述トリック等が好きな人間ですので、こういった先に不鮮明な箇所を提示しておき、後々に回収するといった構成も好みです。

 

島の施設内に住む男女は定期的にカウンセリングを受けていることから、精神病棟系の話かと思ったのですが、思った以上にどの人物も健常というか、表の面しか見せてくれないので妙だなと思ったのですが、最後まで読み進めて納得といった具合ですね。

確かにそちらなら精神的に問題のある子どももいれば一方で健常者とそう変わらない子もいると納得できますね。尤も、後々豹変するのでしょうが。

アサガオは夜を識らない。_会話01
島の特性というか集められた人たちの特徴を考えればやたら良い性格した連中が多めなのにも合点がいきます。それぞれこの島は来ることになったトリガーとなり得る事件があったのでしょうが、それは追々といった感じでしょうね。

ひとまず舞台の雰囲気、設定を掴ませてもらえただけでも御の字です。

 

どの人物も裏に何か抱えてそうな雰囲気は感じましたが、やはり最も気になるのは主軸となるアサガオですよね。

緋色アサガオ_02

アサガオに関して現時点で覚えておくべき要素としましては、
・皆から避けられる理由
・熊のお守り, 朝顔の髪飾り
・過去の記憶(碧依との約束)
・友人のソラの存在と姿を消した理由
・絵日記のブランク
この辺りでしょうか。

言動や立ち振る舞いが素なのかあるいは意図的なのかも気になるところです。

朝顔の髪飾りは恐らくは記憶を失う前の碧依が贈ったものと考えるのが妥当でしょうが、それにどういった意味合いが込められているのかも考えながら本編を読み進めていきたいですね。

 

他の人物ですと、立ち絵は無いながらも双子姉妹は少々気になりますね。

姉の方はあまり賢そうに見えませんでしたが、妹の方はしたたかで、感情を表に出しやすい姉と比較すると落ち着いており、姉のブレーキ役として作用しているようですが、体育館にて如月先生と姉がどう話していたのかを聞いた後、姉のような振る舞いをして如月先生へ取り入る描写が見受けられたので、モブキャラながら今後の動向に注目していきたいところです。

 

教員サイドは言うまでもなく島民の監視も任務の一つとして行なっているが故に多少性格が歪んでいる節が見受けられましたね。

特に如月先生の方は善意を利用し人を追い込むタイプのようでしたので、良い外道感が滲み出ていました。

如月夜葉_01
表ではニコニコしつつ裏では場を引っ掻き回して笑ってるといったタイプ。この手の話にはやはりこういった人物がいてくれる方が話を動かしやすいでしょうし、展開もプレイヤー好みに仕上げやすいので個人的にはいてくれて良かったと思えるキャラですね。まだ片鱗しかみせてくれていませんが、本編ではどのような外道っぷりを見せてくれるか楽しみです。

 

金月緑華_01

緑華の方も多少捻くれてはいるのでしょうが、この人からは優しさの方が強く出ているように感じたため、後々主人公を含め島民に危害を加える側に回ることは恐らくないでしょう。寧ろ庇う側といった印象。理由は後述。

物事を理屈で考えたり、周りに誰もいないときに独り言を発して思考整理をする癖は私もあるので、多少親近感が湧きましたね。

 

このような具合で、序盤からいくつも謎や厄介事の火種になりそうな要素がいくつも見受けられたこともあり、前書きでも書いた通り、今後の展開も面白くなることが予想されます。

 

個人的に気になった点

  • 主人公の性格、及び貞操観念

作中でも言われている通り、本作の主人公・碧依はダウナー系と言いますか、あまり明るくない性格をしています。その都合上心理面の描写において悪態を突くようなシーンが度々見受けられました。

碧依_心理描写

尤も碧依は記憶を失っており、記憶を失う前も恐らくはあまり良いとはいえないような家庭環境に身を置いていたため、そういった性格になるのも納得といった部分はありますけどね。

そこまで不快感を感じることはありませんでしたが、どこまで感情移入出来るかは未知数であるため、僅かに懸念点といった具合です。

 

それと碧依に限った話ではないのですが、島民の貞操観念がなかなか終わってらっしゃいますね。

会って1週間程度の人間を抱かせてしまう女性にはうん?となりましたし、1人抱いた数日後碧依は別の子とも行為に及んでいるため、これに関しては些か疑問を抱かざるを得ませんでしたね。

碧依は感情に疎く、好きがなんなのかもよく分かっていない状態である点、島に集められた男女の特徴を考えれば分からなくもないですが、受け入れやすい展開かと聞かれたら個人的にはNOかなと思います。

あと屋上での行為は島の特性を考えたら普通にカメラでバレるでしょう。その辺りの設定面も大丈夫なのか一抹の不安はありますね。

 

  • 10年ほど前にプレイした作品と同系統である

丁度10年前に5pb.よりリリースされたノベルゲームに『DUNAMIS15』といった作品があります。

DUNAMIS15

2011年に発売されたノベルゲーム、DUNAMIS15

こちらも本作同様閉鎖された島に若い男女がいて、教師より教えを乞うて学生生活を送っていましたが、島の真実を知って脱出を目指すというような内容となっています。

・外部へ渡る手段が限られた閉鎖された島という舞台
・(↑に付随する要素として)定期便で好きなものを購入できるという制度
・メインヒロインが感情表現に疎い子である
・ぱっと見人柄良さそうな大人が外道
・島内各地に仕掛けられているカメラや警備部隊といった設定
この辺りの設定が似ているなと感じましたね。
如何せんプレイしたのが10年も前の話のため、始めは既視感を感じる程度でしたが、進めていくうちに「あーあれとそっくりだ、だからデジャブ感じたのか。」と思い出してきました。

とはいえ似てはいるものの話の主軸は別物です(DUNAMIS15は人の細胞、本作は愛?をテーマにしている)ので、同じ展開になることはまずないでしょうが、どういった面で差別化をしてくれるのか期待していきたいところです。
因みに前述した緑華が島民を庇う側と考えたのは、このDUNAMIS15の生徒たちの担任も女性教師で、緑華と多少似た立ち位置をしており、作中で主人公たちを度々助ける描写が見られたというのが理由の一つです。

 

このようなことをいちいち気にするのも我ながらどうなのだろうという思いはありますが、やはり『信じれる』といった表現を見ると違和感を感じてしまう性分なのです。

それとは別に脱字も見受けられまして、やはりこういったミスというのは冷めさせると言いますか、現実に戻されるような気がしてあまり気分は良くないですね。前者はもう癖のレベルですので難しいでしょうが、せめて脱字の方だけでも製品版では直っていることを祈ります。

 

総括

アサガオは夜を識らない。_タイトル02

一つ確実に言えることがあるとすれば本作は万人受けではありませんね。

とはいえ公式サイトを見た時点で何かしら惨い描写があるのは見て取れたので、苦手意識のある方はそこでストップをかけられるでしょう。

脚本家曰く『世界一濁りのない純粋な愛』を表現したとのことなので、恐らくは最終的には犠牲はあれど綺麗な終わり方になるのかなという予想はあります。

タイトルが『アサガオは夜(アイ)を識らない。』であることを考えても、やはり話の主軸はアサガオの感情面になっていくのでしょう。

体験版の範囲では前述した通り、アサガオが碧依に気付いていない振りをして、敢えて幼児のような振る舞いを取っていたのか、あるいは12日の夜に記憶を取り戻したのか、少なくともこの子視点で心情が語られるシーンは一つもなかったので、現状見えている情報だけで断定するのは少々難しそうですね。

 

現状ベールで被われている部分を追いたいと思わせるような内容でしたので、懸念点を払拭して更なるブラッシュアップをした本編に触れられることを切に願います。

 

ではっ!